作成前に知っておきたいロゴの種類：6タイプ別に解説

印象的なロゴは、ひと目でブランドが分かります。ナイキのスウィッシュやコカ・コーラの書体がその例です。シンプルな線やたった1つの文字がブランドに関する多くの情報を伝え、ブランド認知の鍵を握っています。

ある調査では、消費者の75%が、ロゴは最もブランドを識別しやすい象徴的な存在と答えています。

では、良いロゴとはどのようなものでしょうか？それはブランドの核心的価値、ターゲットオーディエンス、伝えたいイメージによって異なります。

この記事では、最もよくあるロゴの種類を解説し、インスピレーションとなる例を紹介します。

ロゴの役割

ロゴは、企業名、商標、その他の識別情報をグラフィックで表現したものです。一般的に、レターヘッド、名刺、製品パッケージ、ウェブサイト、オンラインショップ、店舗の入口などに使用されます。

ロゴはシンプルなものから複雑なものまでさまざまですが、どれも顧客（または潜在的な顧客）に認識されるものである必要があります。多くの企業は、異なるニーズに合わせて複数のバージョンのロゴを持っています。たとえば、ウェブサイト用の横型バージョンや文房具用の縦型バージョンなどです。企業名のイニシャルのみで構成されているロゴもあり、シンボルや画像を取り入れたロゴもあります。

最も優れたロゴは、シンプルで記憶に残るものです。アマゾンのAからZをつないだ矢印やマクドナルドのゴールデンアーチを思い浮かべてください。どちらも瞬時に認識できるロゴであり、そのブランドを象徴しています。そのため、名前が書かれていなくてもそのブランドと分かるロゴも数多くあります。

6タイプのロゴデザイン

エンブレム
ロゴタイプ
ピクトリアルマーク
レターマーク
マスコットロゴ
コンビネーションロゴ

企業ロゴのランキング（英語サイト）には、さまざまなスタイルのロゴが並んでいます。シンプルなリンゴを描いたアップル、スウィッシュを使ったナイキ、華やかな筆記体のコカ・コーラなど、すべてタイプが異なりますが、これらは一般的なロゴの種類6タイプに分類できます。

1. エンブレム

エンブレムは、家紋に似たロゴの一種で、主にヨーロッパの（しばしば権力や富を象徴する）一族を表すために使用されます。エンブレムロゴはデザインが伝統的であり、象徴的なイメージと企業名などの言葉を組み合わせるのが一般的です。これらは学校や大学（ハーバード大学のロゴがその例です）によく使用されますが、自動車会社やブランドに重厚感を与えたい企業にも人気があります。

エンブレムロゴは円形や紋章型が多く、クラシックな色づかいが特徴ですが、鮮やかな色のエンブレムロゴにすると簡単に古いスタイルと新しいスタイルを組み合わせることができます。

このタイプでよく知られているロゴには、赤と金を基調とし、ブランド名を中心に金箔装飾を表す縁取りをあしらった、ビールブランドのステラ・アルトワのロゴがあります。ステラ・アルトワのロゴは1366年に作成され、現在も使用されている最古のロゴと考えられています。

エンブレムのロゴを使用するケース：古くからの伝統に敬意を表す、ブランドに歴史的な遊び心を加える、ブランドの名声や遺産を伝えるといった場合にエンブレムロゴを使用しましょう。

エンブレムロゴの例

ハーバード大学

ステラ・アルトワ

ステラ・アルトワのエンブレムは、歴史と伝統をひとつのデザインで表現しています。

ワーナーブラザーズ

ワーナーブラザーズのロゴは、クラシックなエンブレム形状にクリーンでモダンなラインと大胆な色を組み合わせています。

ハーレーダビッドソン

ハーレーダビッドソンはエンブレムロゴを使用しています。

ハーレーダビッドソンのロゴは、クラシックな色合いを用いたモダンなエンブレム形状で、数十年にわたる歴史を伝えています。

ポルシェ

ポルシェのロゴは、このメーカーの名声を示し、製造する車のクオリティにマッチしています。

2. ロゴタイプ

ロゴタイプは、企業名を独自の書体で表現した文字ベースのロゴです。一般的に「ワードマーク」とも呼ばれます。ロゴタイプという用語は、ギリシャ語の「logos」と「typos」に由来し、合わせて「言葉の印」を意味します。

ロゴタイプは、さまざまな書体・グラフィック要素・色を使って作成できます。シンプルで記憶に残り、表現する企業やブランドの本質を伝えるものが、効果的なロゴタイプです。

フォーチュン500企業の3分の4がロゴにサンセリフ体を使用しており、手書き書体やスクリプト体を使用しているのはわずか2%です。大半のブランドはロゴに大文字を使用しており、世界のトップ企業で小文字のロゴを使用しているのはわずか7%（マスターカードやeBayなど）です。

ロゴタイプを使用するケース：ブランドの認知度を高めたい場合や、ビジネス名が記憶に残るキャッチーなものである場合にロゴタイプデザインを使用しましょう。

ロゴタイプの例

コカ・コーラ

コカ・コーラの有名なロゴは、ロゴタイプの優れた例です。企業名を使用して、瞬時に認識できるグラフィックを作成しています。

フリングス

フリングスはロゴタイプを使用しています。

キヤノン

キヤノンの堅実で時代を感じさせないフォントは、製品の信頼性とプロフェッショナリズムを強調しています。

アマゾン

アマゾンはロゴタイプフォントを使用しているブランドの代表例です。シンプルな文字に遊び心のある矢印を組み合わせて、記憶に残るロゴを作り出しています。

フラウス

フロスブランドのフラウスは、歯のように見えるフォントを使用してロゴタイプを作成しました。

3. ピクトリアルマーク

ピクトリアルマークとは、ブランドを表すシンプルで明確なグラフィックのことです。様式化された書体で企業名を表すロゴタイプに対し、ピクトリアルマークは文字を使用せん。そのため、即座に認識でき、独自性がある必要があります。

アップルのリンゴのロゴがその例で、テクノロジー企業のための瞬時に認識できるピクトリアルマークです。シンプルで明確であり、名刺から屋外広告、マーケティング資料まで、インパクトを失うことなく使用できます。

ピクトリアルロゴは楽しくクリエイティブでありながら、ブランドの本質を反映し、消費者に製品やサービスについての印象を与えることが重要です。これはひとつの画像で実現するのが難しいこともありますが、うまくいけば認知度を高めることができます。

ピクトリアルマークロゴを使用するケース：ブランドがすでに認知されている場合や、市場の特定のセグメントを捉えており、それをひとつの画像で表現できる場合に使用しましょう。

ピクトリアルマークロゴの例

アップル

アップルは最も有名なピクトリアルロゴです。かじられたリンゴのモチーフは、世界中で瞬時に認識されます。

ビアードブランド

シェービング製品会社のビアードブランドは、市場に特化し、販売する製品を反映したシンプルなピクトリアルロゴを作成しました。

ビーツ

ビーツのヘッドフォンのロゴは、ブランド名のイニシャルを使っているだけでなく、巧みにヘッドフォンの形をしています。

ターゲット

ターゲットの赤い的のロゴは、ブランド名と同義になっています。ほとんどの人は、何のヒントもなくこのピクトリアルロゴを瞬時に認識します。

チリズ

水筒ブランドのチリズのロゴは、ブランド名を反映しています。グラデーションのカラーパレットは、シンプルなデザインを美しく引き立てています。

4. レターマーク

レターマークは、企業や個人のイニシャルを使用して記憶に残るシンボルを作成する種類のロゴです。ワードマークロゴと呼ばれることもあります。レターマークは、企業名が難しい場合や、モダンなイメージを作りたいときに使用されます。ロゴタイプとは異なり、レターマークは通常1文字または2文字を使用し、名前全体を使用しません。

レターマークは、マーケティング資料やさまざまなチャネルで使用でき、企業名を記憶に残るブランドに変えることができます。

高級ブランドのルイ・ヴィトンは、ほぼすべての製品にレターマーク「LV」を使用しています。レターマークをロゴとして使用している他の高級ブランドには、ダイアン・フォン・ファステンバーグやシャネルがあります。レターマークは非常に多用途であり、印刷からデジタルメディア、製品への直接使用まで、さまざまな文脈で使用できます。

レターマークまたはワードマークロゴを使用するケース：ブランド名が長い場合や、2つ以上の単語から成る場合に、レターマークまたはワードマークロゴを使用しましょう。

レターマークとワードマークの例

MVMT

時計ブランドのMVMTのシンプルなロゴは、製品の豪華なデザインを反映しています。

ルイ・ヴィトン

HBO

黒い書体を使い、Oの文字でカメラレンズを表した、HBOのロゴ。 — HBOのロゴ。

IBM

青い大文字の書体で、文字にボーダーのような白い線を重ねた、IBMのロゴ。 — IBMはレターマークロゴを使用しています。

IBMのロゴは大胆でシンプルであり、横に走るラインはブランドのサービスのスピードとダイナミックさを表しています。

フィナンシャル・タイムズ

フィナンシャル・タイムズのレターマークロゴは、紙名のイニシャルを組み合わせたもので、ブランドカラーを背景に使って少し個性を加えています。

5. マスコットロゴ

マスコットロゴは、ユニークなブランドアイデンティティを表すキャラクターや動物を使ったロゴです。これは、アニメキャラクターから実際の動物まで、さまざまな形を使うことができます。

マスコットは認識しやすく、ブランドの価値やブランドの個性を表すものであることが重要です。たとえば、ブランドが楽しさや親しみやすさを伝えようとしている場合、かわいらしいマスコットを選択しましょう。一方、ブランドが強さや力を伝えようとしている場合、より威圧的なマスコットが適しています。

マスコットロゴはキャラクターとブランドの間に即座の関連性を生み出し、ブランド認知度や忠誠心を高めるのに役立ちます。タイヤで作られたフレンドリーな笑顔のキャラクターであるミシュランマンは、ブランドのタイヤが販売されている整備工場だけでなく、世界の一流レストランのドアや窓にも見られる多用途のマスコットです。

ロゴは企業の個性を効果的に伝えますが、これはマスコットロゴにおいてさらに真実です。マスコットを特徴とする良いデザインのロゴは、ブランド認知度や記憶を高めることができます。『ビジネス研究ジャーナル』によると、マスコットを持つブランドは、持たないブランドよりも高い記憶率を示しています。

マスコットロゴを使用するケース：ブランドに大きな個性がある場合や、人間味を出したい場合にマスコットロゴを使用しましょう。

マスコットロゴの例

ミシュラン

ミシュランマンはよく知られていて、マスコットがブランドそのものよりも記憶に残ることがよくあります。

ウェンディーズ

ウェンディーズのロゴには「ウェンディ」というマスコットが含まれており、ブランドの始まりを思い起こさせます。

KFC

ブランド名と有名な創業者カーネル・サンダースの笑顔のイラストが使われたKFCのロゴ。 — KFCはマスコットロゴを使用しています。

カーネル・サンダースは、世界でも特に有名なファストフードブランドのシンボルです。

プリングルズ

プリングルズのマスコットは年々進化していますが、ブランドロゴの重要な部分であり続けています。現在のマスコットは、よく知られた口ひげのある顔のシンプルなロゴスタイルです。

モノポリー

モノポリーのマスコットは、会社のブランディングの重要な部分であり、このマスコットの帽子はゲームの部品にもなっています。

6. コンビネーションロゴ

コンビネーションロゴは、テキストと画像の要素を組み合わせたロゴの一種です。最も一般的なコンビネーションマークロゴは、ワードマークロゴまたはテキストのみのロゴと、ピクトリアルマークまたはシンボルを組み合わせたものです。このタイプのロゴは、企業名とブランドアイデンティティの両方を伝えたい企業によく使用されます。

これにより、ある場所ではワードマークを使用し、アイコンが適した場所ではアイコンを使用することで、さまざまな素材に合わせてロゴを適応させやすくなります。

コンビネーションロゴを使用するケース：ブランドの認知度を高めたい場合や、多用途な選択肢を求めている場合にコンビネーションマークロゴを使用しましょう。新しいビジネスが認知度を高めるためにも良い選択です。

コンビネーションロゴの例

アドビ

アドビの抽象的なロゴマークは、ブランド名のシンプルな文字部分と、ブランド名のイニシャルであるAを使ったクリエイティブなアイコンを使っています。

ウェンズデイ・ドメーヌ

ワインブランドのウェンズデイ・ドメーヌは、シンプルな大文字のフォントを手描きのワイングラスの画像と組み合わせて、ロゴに遊び心を加えています。

マスターカード

マスターカードの記憶に残るロゴシンボルには、小文字のブランド名と、ブランドの核心的価値である統一、つながり、協力を象徴する2つの重なり合った円が使われています。

デルタ航空

ブランド名と、上向きの赤い三角形の矢印を使った、デルタのロゴ。 — デルタのロゴ。

デルタ航空は、ギリシャ文字の「デルタ」を表現した上向きの三角形と、下（または横）に「デルタ」という単語を組み合わせたコンビネーションロゴを使用しています。ロゴのピクトリアル部分は、企業名を示すだけでなく、飛行機を飛ばすこと（上空へ）を表しています。

ペプシ

ペプシのロゴはシンプルですが、記憶に残ります。ロゴの小文字部分はカジュアルであり、ロゴシンボルは地球の磁場、風水、地球物理学など、より複雑なものを表すと言われています。

良いロゴを作るための5つのヒント

ブランドを理解する
さまざまなタイプを試し、リサーチする
色を選ぶ
適切な書体を選ぶ
周囲に見せて意見を聞く

ロゴ作成は、複雑でも高額である必要はありません。実際、デザイン経験がなくても、自分で素晴らしいロゴを作成できる可能性があります。以下は、良いロゴを作成するためのヒントです。

1. ブランドを理解する

ロゴデザインで最も重要な部分は、ブランドが何を代表するかを理解することです。ブランドの個性はユーモラスですか？真剣ですか？トレンディですか？チームメンバーがいる場合は、会社に関する基本的な質問に答えてみてください。

以下を自問しましょう。

この会社を始めた理由は何ですか？
あなたの価値観は何ですか？
競合との差別化ポイントは何ですか？
顧客は誰ですか？

これらの質問に答えることで、会社のロゴを決定するための良い道を見つけることができます。

2. さまざまなロゴタイプを試し、リサーチする

会社のためにさまざまなロゴタイプを試し、それらの異なるバージョンを試してみてください。

ロゴ制作は、適切なものが見つかるまで何百回も繰り返すことがあります。過去と現在のロゴを見てみてください。すでにたくさんのロゴが存在するので、完全に新しいものを考え出す必要はありません。他の企業のロゴからインスピレーションを得ることができますが、他の企業のロゴをコピーしないように注意してください。これは著作権侵害にあたります。

3. 色を選ぶ

事前に決定したブランドアイデンティティとリサーチを基に、会社や提供するものを最もよく表す色を選びましょう。たとえば、エコ意識の高いブランドは、地球を表すために青や緑を使用することが多いです。同様に、子供向けのブランドのロゴは、子供の目を引くために明るい色を使用するでしょう。

色彩心理学の概念を利用して、適切な色を選び、正しいメッセージを伝えましょう。

4. 適切な書体を選ぶ

すべてのロゴに文字が含まれているわけではありませんが、もし含まれている場合は、書体を選ぶ必要があります。読みやすく、拡大や縮小が可能で、さまざまな形式で再現できるものを選んでください（ロゴは小さなボトル、看板、パソコンの画面に表示される可能性があることを心に留めましょう）。

5. 周囲に見せて意見を聞く

ロゴをさまざまな人に見せて、反応を得てみましょう。「何を思い浮かべますか？」や「何を考えますか？」などのオープンエンドの質問をしてみてください。または、「これらの色は好きですか？」や「どの部分が嫌いですか？」などの、特定の質問をすることもできます。

友人や家族だけでなく、さまざまな人からフィードバックを得るようにしてください。可能であれば、市場にいる人々とのフォーカスグループを設定し、ロゴが製品を購入する可能性のある人々にどのように響くかをより明確に把握しましょう。

ロゴデザインに関するよくある質問

自分でロゴをデザインできますか？

はい、自分でロゴをデザインできます。ユニークなロゴを作成するのに役立つ無料のロゴメーカーや有料のロゴジェネレーターがインターネット上にあります。

ロゴを作成するためにどのようなソフトウェアを使用できますか？

最高のロゴメーカーの中には、Shopifyの無料ロゴメーカー、Wixロゴメーカー、Canvaなどがあります。また、Adobe Creative Cloudのようなプロのデザインソフトウェアも使用できますが、オンラインオプションよりも高額になります。

無料でロゴを作成するのに最適な場所は？

Shopifyは、数百のテンプレートが含まれた、デザイン経験がなくても簡単に始められる無料ロゴジェネレーターを提供しています。